あなたの名は・・・ 第三章

 

 

・・・ドサッ!!

長き陵辱と苦痛の果てに、三角木馬の上で気絶したティニーを降し、床に放り捨てる男たち・・・

ティニーの裸身は床に転がされ、その全てを晒した。

ティニーの姿は惨たらしいものだった・・・
全身に鞭でつけられた蚯蚓腫れがあり、所々は肉が裂け、血が滲み出ていた・・・
股間は、三角木馬で散々いたぶられたこともあり、そこからも傷から血が出ていた。
髪はリボンが解け、長い髪が床に広がっていた。
目元には、体と心の痛みのために溢れた涙のあとが、くっきりと残っていた。

まさに・・・ボロきれのようになっていた・・・という表現が適当な状態になっていたのだ。

「ふん! お前にはお似合いの姿だよ・・・ティニー・・・」
自分が痛めつけた姪の姿を見つめながら、ヒルダはその言葉を投げつける。
ティニーが気を失っているのは分かっているので、多分に自己満足としての意味合いが強い言葉だった。

「ヒルダ様・・・そろそろ・・・」
ヒルダの背後から男の一人が話し掛ける。
「そろそろ?」
「はい! もうそろそろ俺たちにも満足させてくださいよ・・・」
「ああ〜」
男たちは目をぎらぎらさせ、体をもぞもぞしていた。

・・・そう
自らの剛直をティニーの中に沈めたい衝動に駆られているのだ。
これだけの饗宴とこの悩ましいティニーの姿を見せられたのだから、当然かもしれないが・・・
「そうだね・・・」
ヒルダは少し考える仕草をみせる・・・

「いいだろう! お前たちにくれてやるよ! だが、この女の処女だけはあたしがもらう・・・」
ヒルダはそう宣言する。
「・・・それは結構ですが・・・どの様に?」
ヒルダがどの様にティニーの処女を破るのか・・・その事が男たちには興味があった。
「ふふふっ・・・これだよ・・・」
ヒルダは、先ほどから使った物が収納されている箱のところに行き、何かを取り出してきた。
「まさか・・・それは・・・」
ヒルダの手には・・・短剣が握られていた。

「これでこの女のアソコを貫いてやるよ。あはっはっは・・・さぞかし痛いだろうね〜」
・・・ヒルダは心底楽しそうだった・・・

「・・・それでは・・・この女の膣内は傷つき、大量の血で覆われますな。」
「・・・そうだよ! お前たちも普段では味わえない性交を味わうことができるんだ。愛液の代わりに大量の血がお前たちのものを包んでくれるんだ。・・・こんな体験は滅多できるものじゃない・・・」
「確かに・・・」
男たちもヒルダの狂気に感化されたのか、その残虐にして非情な行為に心膨らませた。

「では・・・始めようか・・・」


男たちがティニーの体を抑える。
気を失っているとはいえ、これから行うことをすれば、あまりの激痛に暴れることは分かっているからだ。
ヒルダは左手の親指と人差し指で彼女の膣口を広げると、そこに短剣を近づけた・・・

「ふふふっ・・・」
ヒルダがあまりの興奮に鼻息を荒くする。

そして・・・勢いをつけて短剣を刺し込もうした時・・・



「ヒルダ様!!」
突然、ヒルダを呼ぶ声が響いた。
見ると、牢獄の柵の向こうから一人の兵士がヒルダを呼んでいたのだ。
最高の一瞬を邪魔されたヒルダは怒りが込み上げてきた。
「なんだい! 今、最高のところなんだ! 邪魔しないでおくれ!!」
ヒルダは自分を呼んだ兵士に怒鳴りつけた。

「しかし・・・」
「用件なら後にしな・・・」
しかし、兵士も自分に課せられた義務を伝えようとした。

「ですが・・・ユリウス殿下がヒルダ様を御呼びなのですが・・・」
ユリウスの名を出されたヒルダの動作は止まった。
「ユリウス殿下が?」
「はい、至急にヒルダ様を御呼びせよとの事なのですが・・・」
「・・・・・・」
ユリウスがヒルダを呼んでいるとなれば、ヒルダも無視するわけにはいかない・・・
彼の怒りを買うことだけは避けなければならなかったからだ。

「して・・・その用件は?」
「私は・・・ヒルダ様を御呼びせよとしか・・・」
「・・・分かったよ・・・」
ヒルダは立ち上がり、ユリウスに会いに行くことにした。
ヒルダは男たちに向かって言った。
「あたしはユリウスにお会いしてくる。この女を犯すのはそれからにする。お前達はしばらく待っていろ。」
「・・・はい・・・分かりました。」
男たちは、お預けにされて不満そうだった。
「そんなに不満そうな顔をするんじゃないよ・・・」
男たちに不満を尻目に、ヒルダは牢獄から出て行った。



地下牢から地上に続く階段は、王宮の大廊下の脇にある。
その階段から兵士に連れられたヒルダが出てくるのを、柱の影から見つめる人影があった。
ヒルダが大廊下の奥に消えたのを確認すると、その人影は小走りで地下牢に続く階段に向かって行った。



地下牢では、男たちがヒルダの帰りを待っていた。
「まったく・・・せっかくこれだけの獲物が目の前にあるのに・・・」
ティニーの傷だらけの体を見ながら、男の一人は呟く・・・
「まったく・・・ユリウス殿下も了承してくださったのなら、それの邪魔をするようなことは控えてもらいたいもんだよ。」
「まあ・・・なにか起きたのだろうよ・・・」
男たちは、一刻も早いヒルダの帰りを待ちわびた。


その時・・・
廊下から誰かの足音がした。
最初、男たちはその足音をヒルダのもの思ったが、耳を澄ますと・・・どうやら別人のものだと判別できた。

そして・・・その足音が自分達の牢獄の前まで来た。

「!?・・・あなたは!!」
男たちは、その人物を見て愕然とした。

それは・・・イシュタルであった。

イシュタルは牢獄の中に足を踏み入れた。
「・・・こ・・・これはイシュタル様・・・なにか御用で?」
「・・・・・・」
男たちが声を震わせながら、イシュタルに尋ねる。
しかし、イシュタルはそんな男たちを顧みず、黙って床に転がされているティニーに向かってゆっくりと歩き出した。
圧倒的な威圧感と恐怖のために、道をあける男たち。
そして、ティニーのすぐそばまで来たイシュタルは、ティニーの脇に屈み、そのの変わり果てた姿を凝視する・・・

イシュタルの様子を見つめる男たちは恐れおののいた・・・
フリージに関係する者達なら、ティニーとイシュタルの関係を知らない者はいない。
そのティニーを辱め、拷問した自分達・・・
イシュタルの母ヒルダがこの場にいない現在、自分達をイシュタルの怒りから守るものは何もなかった。

イシュタルは・・・ただティニーを見つめた。
ティニーの体に刻みつけられた傷を・・・
ティニーの血が染みた床を・・・
ティニーの瞳の周りにくっきりと残った涙の跡を・・・

「ティニー・・・」
静かに・・・ティニーの名を呼ぶイシュタル・・・
そして・・・彼女の体に己がマントをかけてあげると、その下に手を入れ、彼女の体を抱え上げた。

「おっ・・・お待ちください! イシュタル様・・・」
男の一人が勇気を出して、イシュタルに言葉を掛けた。
「その・・・ティニー様をどうされるおつもりで?」
今までとは違い、ティニーに「様」をつけて呼ぶ男・・・
男の姑息さと厚顔さに、イシュタルは吐き気がした。

「ティニーは・・・私が連れて帰ります・・・」
はっきりと自分の意思を伝えたイシュタル。
「しかし・・・ティニー様の処遇はヒルダ様に一任されています・・・それを・・・ひっ!」
男は途中で言葉を切った・・・
なぜならイシュタルに睨みつけられたからだ。
彼女の冷ややかで、殺気をはらんだ視線に凍りつく男・・・
そこから先の言葉を出せなかった。

彼らにとってイシュタルは、雷神と呼ばれる畏怖と恐怖の存在でしかなかった。
そのイシュタルに睨まれて、抵抗できるはずがなかった。

ティニーを抱えて立ち上がったイシュタルは、再度宣言した。
「ティニーは・・・私が連れて帰ります・・・嫌だとは言わせません・・・」
問答無用だった。
「しかし・・・」
「うるさい!!」
「うっ・・・」
イシュタルの短く、鋭い声が響く。

「私を怒らせたいのか? 我がトールハンマーにその身を捧げたいのなら、そうするがいいわ。 雷神の異名がどのようなものか・・・あなた達は死をもって知ることができるでしょう・・・」
「うっ・・・わああ!」
男たちは、イシュタルの怒りに触れたことを直感した。
その死の恐怖に耐えられず、次々と牢獄から逃げ出していった。
「た・・・助けてくれええ!」
「ひゃあああ!」
我先へと逃げ出して行く男達・・・

「・・・・・・」
男たちが逃げ出したことを確認したイシュタルは、再びティニーを見やる。

(ティニー・・・)

そして・・・彼女を抱え牢獄から出て行ったのだった。






ヒルダは、早めにユリウスの用事を終え、地下牢に戻りたかった。
一刻も早く、ティニーをボロボロにしたかったからだ。

そして、ユリウスがいる大広間にヒルダは到達した。

ユリウスはヒルダが自分の所に来たことに違和感を感じた。
なぜ・・・あのヒルダが狂気を中断して自分のところに来たのか・・・
「なんだ? ヒルダ・・・私に何か用なのか?」
ヒルダにとって意外な一言がまず発せられた。
「用ですかとは・・・殿下が私めを御呼びになったのではないですか。」
「誰もお前など呼んでおらぬ。」
「!?」
ヒルダは脇に控えている兵士に目をやった。
この兵士が、ユリウスが自分を呼んでいると言ったのだから・・・
「お前! 殿下が私を呼んでいるといったのはどういうことなのだ! ユリウス殿下は私など呼んではおらぬと仰っておるぞ!」
ヒルダの怒号に兵士は青ざめた。
「ええ! しかし・・・確かにイシュタル様が、ユリウス殿下がヒルダ様を大至急御呼びしているので、探してきてくださいと私に申されました。」
「イシュタルが!?」
ヒルダはイシュタルの名がでてきたことに驚いた。
「はい・・・イシュタル様がユリウス殿下の意思を私に伝えたので・・・」
「しかし・・・ユリウス殿下は私を呼んでいなかった・・・ということは・・・」

「どうやら・・・イシュタルが打った策みたいだな・・・」
ユリウスは冷静に状況を分析し、言葉に表した。
「・・・ユリウス殿下?・・・」
「お前はその策にまんまと騙された訳だよ、ヒルダ・・・イシュタルは私のもっとも傍にいる女だ。そのイシュタルが私の命だと言えば、疑う者などおるまい。現にその者はイシュタルの言を素直に信じ、お前を呼びに行った。別に不自然な命令であったわけではないからな・・・」
「しかし・・・イシュタルはなぜそのようなことを・・・まさか!?」
ハッとするヒルダ。
「お前をティニーから引き離すためだろう・・・お前がいてはティニーを助け出すことはできないだろうからな・・・だからお前を私のもとに行かせ、その隙にティニーを連れ出すつもりなのだろう・・・」
「イシュタル!」
ヒルダは踵を返して、地下牢に戻ろうと立ち上がった。

その時、他の兵士が現れた。
「ヒルダ様! ここにおられましたか・・・先ほどあなたの部下の方がいらっしゃいまして・・・イシュタル様がティニー様を連れて行きました、との事をヒルダ様に伝えてくださいと言われたので・・・」
「!?・・・イシュタル!!」
その報は、まさにユリウスの予想の正しさを証明するものだった。
「どうやら・・・既にお前の玩具は奪われたみたいだな・・・ヒルダ・・・」
ユリウスは悔しがるヒルダに冷ややかな視線を向けながら言った。

「ユリウス殿下! 私はイシュタルとティニーを探して参ります! これにて失礼!」
自分の楽しみを奪われ、また面目を丸つぶれにされたヒルダは、憤りながらユリウスの前から出て行った。



「・・・・・・」
ユリウスはヒルダが兵士を伴って出て行った後・・・一人になった。
そこで、物思いにふけった。

(・・・イシュタル・・・)
ティニーを連れて消えたイシュタルのことについて考えていた。

(イシュタル・・・お前はどういうつもりなのだ・・・あの女を連れて逃げ出すと言うことは・・・裏切りなのだぞ・・・)
イシュタルの行為は・・・自分への裏切りである。
自分の命を放棄したイシュタル・・・
自分がヒルダに身柄を預けたティニーを、ヒルダから奪ったイシュタル・・・
ユリウスへの裏切りと取られても仕方がないことだった。

(何を考えているのだ?・・・本気で私を裏切るつもりなのか・・・それとも・・・あの女がそれほど大事なのか・・・)
イシュタルの行動の説明は的中させたユリウス・・・
だが、その真意は彼には理解できなかったのである。

(あの女とお前の間に絆があったことは私も知っている。だが・・・そのために私を裏切るのか? 私より・・・あの女をお前は選ぶと言うのか・・・)
ティニーのことを話したときにイシュタルの表情・・・言葉を思い出してみる。
そのときに感じたユリウスの感情・・・
あれはもしかしたら・・・
(・・・嫉妬・・・だったのかもしれないな・・・イシュタルに心配されるティニーに対しての・・・)
軽い自嘲をユリウスは浮かべた。
この自分が・・・嫉妬という感情をもつなど・・・

(イシュタルの真意がどうであれ・・・私のもとから離れた・・・その事実に変わりはない・・・しかし・・・)
いつも・・・自分のそばにいたイシュタル・・・
そのイシュタルが、自分のもとを離れた・・・
今まで、イシュタルが自分から離れることなど、考えたこともなかった。
なぜなら・・・
(イシュタルが私のもとから離れることなど・・・考えたくもなかった・・・ふふ・・・なんという都合の良い考えなのだ・・・)
イシュタルが・・・自分から離れる・・・
これは、ある意味常に起きる危険性をはらんだものだったかもしれない・・・

あの・・・心優しいイシュタルが・・・
自分の行う数々の行為を・・・認めるはずがない。
(だから・・・私のもとから離れていったのかもしれないな・・・まあ、当然かもしれないが・・・)
たくさんの者達がユリウスの前から消えていった。
今、自分のもとに残っている者など・・・暗黒に心寄せる者か、さもなくば、欲に目がくらんだ者達ばかりだった。

イシュタルは大広間の窓に向かって歩いていった。
(これも・・・定めなのかもしれないな・・・自分がロプトウスの化身として歩み始めたときから定まっていた・・・)

そして・・・彼は窓の外に広がる草原の光景を見つめた。
その時、彼は口を開いた。

「・・・寂しい・・・とはこういう感じをいうのかな・・・」








・・・結局・・・その日はイシュタル達の行方は分からなかった。







一方、ティニーとイシュタルが消えた翌日・・・
ミレトス地方の解放に成功した解放軍は、一気にグランベル本土への上陸作戦を開始した。
時間を掛けては、帝国軍に完全な防備を固めさせてしまうからだ。
海を渡り、対岸のシアルフィに殺到する解放軍。
そこを防備していたのは、グランベルの皇帝であり、セリスの父シグルドの仇でもあったアルヴィスであった。
既に、彼は息子ユリウスに追われ、一介のシアルフィの防御指揮官に成り下がっていたのである。
迎撃を突破し、アルヴィスに迫る解放軍。
アルヴィスは、自ら解放軍の前に立ちはだかり、戦い、そして・・・散っていった・・・
しかし、まだ解放軍の戦いは終わらない・・・
これからが最後の聖戦なのだから・・・



その夜・・・

「ダメだ・・・許すことはできない」
シアルフィ城の会議室で、レヴィンが冷たすぎる声で出した。
「お願いです! 父上! 行かせてください。」
セティがレヴィンに頭を下げて、嘆願をしていた。
二人のやりとりを、セリス、オイフェ、フィー、アーサーが心配そうな目で見ていた。

「お願いします! 私にティニーを助けに行かせてください!」
セティが頼み込んでいた事は、ティニーを助け出すためにグランベルに潜入する許しを得ることだった。
彼は単身で敵の中に飛び込み、連れ去られたティニーを助けようとしていた。
「ティニーを連れ去られたのは私の責任です。私は・・・彼女を一人にしてしまった・・・彼女を救えなかった・・・全て・・・全て私の責任です!」
「・・・・・・」
「だから・・・私は彼女を助けたい! 大切な・・・彼女を・・・」
しかし・・・レヴィンは首を縦に振らなかった。
「・・・セティ・・・連れ去られたのはティニーだけではない。ミレトスではユリアも連れ去られているのだ。ユリアの所在は現在調査中だか、彼女の役割を考えると、そう簡単には見つからないだろう・・・」
ユリアの役割・・・それは、ナーガの直系として、唯一ロプトウスを倒しうる存在であること・・・
「ことここに至って、ティニーまで探す余裕はないのだ。」
ことさら冷たい口調でセティに当たるレヴィン。
「分かっています・・・だから、私一人でグランベルに潜入し、彼女の行方を捜します。」
「お前は・・・自分の立場を分かっているのか?」
「・・・立場?」
「そうだ! お前は十二聖戦士風使いフォルセティの直系の者として、聖武器フォルセティを引き継ぐ聖戦士だ。これからの戦いではお前の力が必要になるのだ。そのお前が敵地に乗り込み、万が一の事があったらどうするのだ!? ティニーを救うために・・・お前に危険なことをさせる訳にはいかない。」
その言葉は・・・セティにとっても、他に皆にとっても聞き捨てならない言葉だった。
「では・・・ティニーはどうなるのですか!? 彼女は・・・」

「・・・お前を失うことに比べたら・・・仕方ないことだ・・・」

「!!」
あまりの言葉に皆が息を飲んだ。
だがその中で・・・レヴィンの言葉に激昂したのは彼のもう一人の子供だった。
「あなたは!! ティニーをなんだと思っているのですか!?」
フィーがレヴィンに飛び掛ろうとする。
「よせ! フィー・・・」
アーサーが必死に彼女を止める。
彼自身、レヴィンに怒りを抱いてはいたが・・・
しかし、彼女は構わず続けた。
「セティお兄ちゃんは・・・自分の大切な人を助けたいのよ!それなのにあなたはその気持ちを踏みにじろうとする! いつもそうよ! フュリーお母さんが、最後にお父さんに会いたがっていても会おうとしなかった・・・今回もそう・・・ティニーを助けようとするセティお兄ちゃんを無理に引き止めようとする・・・あなたにとって・・・人の気持ち、人の思いは一体何なのですか!?」
「フィー、やめろ!」
セティもフィーを止めようとする。
しかし、感情が高ぶった今の彼女は止まらない・・・
「人を思う心・・・人の愛する心を踏みにじって・・・何が戦いよ、何が聖戦よ! 一人の女の子すら救えないのに・・・そんなことで本当に帝国に、ロプトウスに勝てると思っているの!? 笑わせないで!」
「・・・・・・」
フィーの弾劾にレヴィンは何も言えなかった。

「お父さんなんて・・・お父さんなんて・・・」
アーサーが止めていたフィーの体が突然崩れた。
フィーは床に膝をつき、両手で顔を覆っていた。
「うっ・・・うううぅ・・・」
顔を覆う手の隙間から、雫が落ちていく・・・
・・・フィーは泣いていた。
今まで、自分が抱えていた感情・・・ティニーを思う心が綯交ぜになって、我慢できなくなってしまったのだろう。
そんなフィーの肩に、アーサーは静かに手を添えたのだった。
妹の姿を心配そうに眺めるセティ・・・
静かな溜息をつくセリス・・・
そして・・・

「・・・セティ・・・」
レヴィンは静かに息子の名を呼んだ。
セティがレヴィンを振り返る。
「父上?」
「・・・解放軍は今、全戦力をシアルフィに集結中だ・・・ミレトス・トラキアに残る予備戦力も含めてな・・・これから始まる戦いのために、今は少しでも戦力を強化せねばならない・・・」
「・・・・・・」
「お前の支援のために戦力を割くわけにはいかない・・・それでも良いのか?」
その言葉に全員がレヴィンの顔を見る。
泣いていたフィーも、自分のくしゃくしゃになった顔を顧みず、自分の父親に顔を向けた。

「父上・・・では!?」
「お前の好きにしろ・・・」
そう言って、レヴィンは部屋から出て行ったのだった。
その後ろ姿をセティはずっと眺めていた・・・

「父上・・・ありがとうございます・・・」
レヴィンの消えたドアに、感謝の言葉と共にお辞儀をした。

そして・・・

(ティニー・・・待っていてくれ・・・)
再び、顔をあげた時の彼の表情は、決意に満ち溢れていた。



「レヴィン!」
部屋から出て行ったレヴィンを、セリスは追っていった。
レヴィンは振り返った。
「レヴィン・・・ありがとう・・・」
その言葉のために、セリスはレヴィンを追ってきたのだ。
「・・・・・・」
しかし、レヴィンは特に反応を示さなかった。
「レヴィン?」
横を向いたまま、レヴィンの口が開いた。
「自分が・・・若者たちを導かねばならないというのに・・・」
「?」
「人を動かす・・・もっとも大事なものを・・・私は忘れていたみたいだ・・・」
「レヴィン・・・」
独語すると・・・再びレヴィンは歩き始めた。
その後姿を、セリスはずっと眺めていた。










帝都バーハラとフリージを結ぶ街道の南側には、大きな山がそびえ立っていた。
この麓の森は、面積的にはヴェルダンの精霊の森には及ばないが、それでもとても深い森で街道はおろか、獣道も満足にない森であった。
こんな森のために、通商はおろか軍隊も通ることはない。
この森に入るのは、それこそ猟師と追われる者ぐらいであった。

この森の中に一つの建物があった。
二階建ての木で作られた建物で、倉庫や櫓も備えられていた。
この建物はかつて、この森に逃げ込む犯罪者や、不当な狩りを行う密猟者を取り締まるための兵隊が駐留するために建てられた詰め所だった。

現在、この建物は閉鎖されている・・・
グランベル帝国の軍備拡大による結果だった。
グランベル帝国は、かつての王国時代とは比べものならないほどの版図を領有するに至った。
それに伴い・・・軍隊も領土と同じ比率で拡大されるべきだったが・・・
相次ぐ反乱・内乱・外征により、軍隊が王国時代の数倍の規模まで増強されたのだ。
しかし、それは帝国の財政・国力に多大な負担をかけた。
当たり前であろう・・・国力以上の兵力を雇うとなれば・・・

それと同じくして、圧政の影響が出始めていた。
民衆の締め付け、生産品の搾取、重労働、重税・・・・
それら民衆を苦しめる施策は、一時的に帝国の懐を暖めはしたが、徐々に無理がたたり、生産力は減少し、民衆は反乱を起こし、治安の悪化などの弊害が起きてくる。
しかし、それでも帝国及びその衛星国は自らを支えるために民衆を圧迫し続けた。

だが・・・現実に収入は減り続け、反乱が横行し、自らの保有する武力が自分の首を締め上げていった。
そのため、主力実戦部隊以外の縮小が始められ、この建物のように本来治安を守るようなものにまで、そのしわ寄せが来たのだった。
そして・・・このような行為が、さらに治安の悪化を招いていくのだった・・・




ティニーを助け出して三日目・・・
今、この建物にイシュタルは身を隠していた。
ティニーを伴いバーハラから脱出したイシュタルは、かつて放棄されたこの建物を思い出した。

とりあえず、彼女はここに身を隠すことに決めたのだった。
イシュタル自身・・・これから先のことについて、まだ考えていないこともあったが・・・
何より、ティニーが意識を回復させないことが何よりの原因だった。

あれから三日・・・
ティニーに寝間着を着せ、ここの備え付けのベットにティニーを寝かせ、毛布をかけたイシュタルは、不眠不休でティニーの看護をし続けた・・・
傷薬を体に塗り、回復魔法を使い続けた・・・
そのため、ティニーの体の傷はほとんど消え去った。
しかし、傷に伴った発熱はいまだに下がらず、また三日も何も口にしていないため、体力の低下が心配だった。

もう夕日も沈もうかという頃・・・
イシュタルは付近の川から汲んで来た水を器に入れて、ティニーの部屋まで持っていった。
ティニーの額に当てられた手ぬぐいを取り、その水で湿らせてから、再びティニーの額に当てたのだった。

「・・・ふぅ・・・」
少し・・・イシュタル自身消耗しているみたいだった。
三日も不眠不休で、消耗しないほうがありえないことだが・・・

イシュタルはベットの脇にある椅子に座った。
そして、ティニーの顔を見つめた・・・

「ティニー・・・」
無残にバラバラなった彼女の髪に手を添える・・・
「やっぱり・・・ティニーの髪ってさらさらしてるね・・・」
目元にかかった髪を指で分けてあげた。

「・・・まだ・・・熱は下がらないか・・・」
ティニーの体を心配する。
「あれだけ・・・傷を負ったのだから・・・仕方ないけど・・・」
ティニーの体に刻まれていた傷のことを思い出すイシュタル・・・

「・・・・・・・」
ティニーの顔が・・・
途端に・・・彼女の視界がぼやけてきた・・・
なぜなら・・・目に涙が浮かんでいたから・・・
「・・・ティニー・・・ごめんね・・・ごめん・・・」
イシュタルの頬を涙が落ちていった・・・
「全て・・・私のせいなの・・・あなたをこんな目に合わせてしまったのも・・・全て・・・」
答えないティニーに謝り続けた。




そう・・・
全て私の責任だ・・・
ミレトスで彼女と遭遇した時・・・
あの時、ユリウス様の攻撃からティニーを助けた。
そのことに後悔はしていない・・・
そうしなければティニーの体は、暗黒の竜をによってバラバラにされていただろうから・・・

でも・・・
彼女が囚われた時・・・
なぜ、もっと彼女を守ろうとはしなかったの?
なぜ・・・ユリウス様にもっとお願いしなかったの?
私の母・・・ヒルダがあのような行動にでることは、あなたは知っていたでしょう?
今まで、散々繰り返してきたことなのだから・・・
私の嘆願で本当に・・・ユリウス様が変心してくれたがどうか分からない・・・
でもイシュタル・・・
あの時・・・ティニーを助けるために精一杯頑張ったと・・・胸をはって言える?
ティニーを守るために・・・全ての手段を打ったと・・・自信をもって言えるの?

・・・言えない・・・
私は、ユリウス様の影に怯えて・・・結局何もしなかった・・・
私は・・・ユリウス様の人形だから・・・
あの方の・・・都合のいい・・・人形だから・・・
その主人であるユリウスには何も言えなかった・・・

いや・・・
言えないと信じ込もうとしていたのかもしれない・・・
現に私はティニーを助けた。
ユリウスに逆らったのだ・・・

なら・・・どうしてあの時・・・もっと行動できなかったの?
こんなにティニーが傷つく前に・・・

あの少年と出会う前に・・・どうして気づかなかったの?
ティニーを本当に助けたいという・・・本当の気持ちに・・・

(・・・本当に・・・最低・・・)
数多の後悔に潰されそうになるイシュタルであった。







「・・・うっ・・・ううん・・・」

「・・・えっ?」
イシュタルはティニーの呻き声に我に帰った。
見てみると・・・ティニーが少し体をモゾモゾさせていた。
「ティニー!」
イシュタルはティニーを覗き込んだ。
見ると・・・ティニーの目が少しずつ開かれていった。

(良かった! ティニーが目を覚ました)
イシュタルは・・・本当に嬉しかった。

ティニーの目が完全に開かれ、その視線が宙をさまよう。
ティニーの顔の正面に、イシュタルは自分の顔を持っていった・・・
そして・・・
「ティニー・・・」
と優しく語りかけたのだった。
(本当に・・・良かった・・・)



だが・・・
ティニーの反応はイシュタルの期待したものではなかった・・・


「いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ひっ!」
あまりの声にイシュタルは驚いた。
「いやあだああ! いやあああああぁぁ!!」
ティニーは絶叫しながら、ベットの上で手足を暴れさせた。
暴れた手がイシュタルの顔に直撃し、彼女は椅子から転げ落ちた。
「一体・・・なんなの・・・」
あまりのティニーの反応に、イシュタルは混乱した。
再び立ち上がり、ティニーに語りかけるイシュタル・・・
「ティニー!? 一体どうしたの? しっかりして!」
「うわああ・・・もうやめてえええぇぇぇ!!」
「ティニー!」
彼女の暴れる手を抑え、彼女の顔に見るイシュタル・・・
目は開かれていた・・・
でも・・・その目はイシュタルを見ても、何の反応を示さなかった。
というよりも・・・その目にイシュタルは映っていなかった。
怯えきった表情・・・死んだ目・・・

(・・・そうだった・・・)
イシュタルは分かった・・・
(私は・・・一番大事なことを忘れていた・・・本当に傷ついていたのは・・・体ではない・・・心だったということを・・・)
あれだけの仕打ちを受けて・・・ティニーの心が傷ついていないはずはなかった。
この純真な子にふりかかった狂気のことを考えれば・・・
どれだけ彼女の心が傷ついたのか想像できるものではなかった。
(私は・・・どうすればいいの?)
どうしていいのか分からない・・・
(とりあえず・・・落ち着かせなきゃ・・・)

「もうやめてええええええ!!」
叫び、暴れるティニーにイシュタルは語り続けた。
「ティニー! 大丈夫よ! ここは安全よ・・・もうあなたを傷つける人はいないわ・・・」
しかし・・・ティニーには届かない・・・
「もう・・・やめてえええ!・・・なんでも・・・何でもしますから・・・許して・・・」
「ティニー! しっかりして! お願い!」
「いやああああああ!」
あまりの力に、イシュタルは撥ね退けられた。

床に尻餅をついて落ちるイシュタル。
それでもティニーは叫び続けていた。
自分を襲った者の影に怯えて・・・


「どうしたら・・・いいの・・・」
イシュタルは、ティニーを静める方法を見出せずにいた。

「助け・・・て・・・たすけてええええぇぇぇっ!!」
叫び続けるティニー・・・
(ティニーはここまで・・・傷ついていたのね・・・)
このティニーの悲しみ、痛みは・・・誰にも理解できるものではなかった。
(私は・・・ティニーに何をしてあげられるの?・・・ここまで傷ついたティニーに・・・)
イシュタルは・・・ここまで自分が無力と思ったことはなかった。
(ティニーを助けることができない・・・何もしてあげられない・・・)
無力感に苛まれるイシュタル・・・
ここまで自分は・・・無力な存在だったというのか・・・


「たすけて・・・助けて! イシュタルお姉様!!」
「!?」
今、はっきりと聞こえた・・・
ティニーが自分の名前を・・・
自分に助けを求める悲鳴を・・・

(ティニー・・・あなた・・・まだ、私を・・・)
イシュタルは信じられなかった。
でも、それは真実だった。

「イシュ・・・タル・・・お姉様・・・イシュタルお姉様!!」
いまだに・・・自分を頼ってくれるティニー・・・
いまだに・・・自分を信じてくれるティニー・・・
(ティニー・・・あなたの苦しみは・・・私のせいなのに・・・それでも私を・・・)
自分がティニーを苦しめていたと思っていたイシュタルは・・・自分の名を呼んでくれるティニーをなんとしても助けたかった。
(ティニー・・・私の手は血で汚れすぎているけど・・・それでもあなたを・・・救いたい・・・私が傍にいることを・・・感じさせてあげたい・・・)
静かに立ち上がったイシュタルは・・・ティニーに向かって行った。

既に・・・夕日は沈もうとしていた。




(もう・・・嫌だ・・・嫌だよ・・・)
ティニーは、いまだ暗闇の中に囚われていた。
彼女自身・・・目は開いていたが、それに写る光景を彼女は視覚として感じることはできなかった。
今、彼女の目の前には・・・
狂気によって支配され・・・自分に苦しみと辱めを与えたあの光景が広がっていた。
自分に鞭を振るう男たちの卑しい笑い・・・
自分を汚いものでも見るかのように眺めるヒルダ・・・
そして・・・自分が傷つけられていく・・・
(もう・・・痛いのは嫌・・・もう・・・苦しむのは嫌なの・・・)
ティニーは全てから目を背けたくなった。
(・・・私は・・・このまま暗闇に飲み込まれるの?・・・それでもいい・・・こんな苦しい思いをするのなら・・・もう・・・)
彼女は・・・絶望に身を委ね・・・暗闇に飲み込まれようとした・・・


その時だった・・・
彼女の唇に・・・暖かいものを感じたのは・・・

「!?」

彼女は途端に暗闇の中から引き戻された。
彼女の視界から先ほどの狂気に彩られた饗宴の光景が、霧の様に消え去った・・・

そして自分の唇に・・・何かが重なっている・・・
それがキスと気づくまで、しばらくの時を擁した。

(私・・・キスをされているの・・・?)
自分の唇に・・・何者かの唇が重なっている・・・
あまりに近くのため・・・今、自分にキスをしている相手の事が分からなかった。
目は開いていても・・・その人物の顔にシルエットが掛かったようになっていた。
(誰・・・だれなの・・・?)
誰かも分からない相手にキスをされたティニー・・・

でも・・・
(とても・・・暖かい・・・気持ちが安らぐ・・・)
ティニーにとって、不快な思いを与えるものではなかった。
(いい・・・香り・・・この香り・・・どこかで・・・)
今、目の前の人からの香りに、何かを感じるティニー・・・
(キスって・・・こんなに暖かくて・・・こんなに落ち着きを得られるものだったんだ・・・)
これは・・・ティニーのファーストキスである。
初めてのキスに驚きはあった。
でも、ティニーはその暖かさに身を委ねたかった・・・
目を閉じ、ただその感触に酔いしれたかった・・・



イシュタルはティニーに覆い被さり、ティニーにキスをしていた。
暴れる手を抑え、少し強引ながらも・・・彼女に唇を合わせた。
その途端、彼女の動きが止まった。
まるで、時間が止まったように・・・
暴れていた手からは、徐々に力が抜けていった。
そして・・・彼女の表情から苦しみと悲しみの表情も、徐々に消えていったのだった。

どれだけ長い間・・・そんな事が続いたであろう・・・
ゆっくりと・・・イシュタルは顔を離していった。

そして、閉ざされていたティニーの目が開かれていった・・・
その先には・・・イシュタルがいた。

「・・・イシュタルお姉様?」
「・・・ティニー・・・」
視線が合わさった二人・・・
やっと狂気の檻からティニーは解放されたのだった。

「・・・どうして・・・イシュタルお姉様が?」
ティニーは状況が飲み込めずにいた。
それはそうだろう・・・あまり最後の記憶と状況とは違うのだから・・・

「ティニー・・・もう大丈夫よ・・・ここにはあなたを苦しめる人達はいないから・・・」
ティニーは周りを見る・・・
イシュタル以外誰もいなかった。
ティニーは、自分が狂気の場とは違う場所にいることを理解した。
「イシュタルお姉様が・・・私を助けてくれたのですか?」
「・・・ええ・・・」
ティニーの問いにイシュタルは答える・・・

「・・・でも・・・どうしてそこまで・・・」
ティニーには疑問だった・・・自分を助けてくれたイシュタルの行動が・・・
確かに自分はイシュタルに助けを求めた・・・
そして・・・イシュタルはそれに答えてくれた・・・
でも、イシュタルはなぜそこまで自分に応えてくれえるのだろうか?
なぜ・・・そこまで優しいのだろうか・・・

「それは・・・ティニーが私にとって・・・とても大切な存在だからよ・・・」
それが・・・飾らぬイシュタルの本心であった。
「大切な・・・存在・・・」
「私にとって・・・ティニーは大切な家族・・・大切な幼馴染・・・大切な親友なの・・・いつもあなたは私を信じてくれた・・・私に大切な思い出をたくさんくれた・・・それなのに・・・」
途端にイシュタルの表情が曇った。
「私は・・・あなたを苦しめてしまった・・・あなたが危険に晒されているのに・・・あなたを大切に思っていたのに・・・助けに行かなかったの・・・本当に最低な女なの・・・」
その言葉にティニーは異議を唱える。
「そんなこと・・・だってイシュタルお姉様は、こうやって私を助けてくださったではないですか・・・それなのに・・・」
「もっと・・・私が早く勇気を出していれば・・・あなたはこんなに傷つくことはなかった・・・」
「・・・・・・」
ティニーの脳裏に・・・あの時のことが浮かんだ・・・
「あなたを大切だって・・・自分でも分かっていたのに・・・それなのに私は・・・大切なものを守る勇気すら出ない臆病な女なの・・・」
自分を責め続けるイシュタル・・・

「・・・違います・・・」
ティニーはイシュタルに訴えかけた・・・
「・・・イシュタルお姉様は強い女性です・・・だっていつも私を守ってくださいました・・・ティルテュお母様が亡くなって、一人ぼっちになってしまった私をイシュトーお兄様と一緒に守ってくださいました・・・たとえ、それがお二人の母親でも・・・」
「・・・・・・」
「私・・・本当に嬉しかったんです! 守ってくれることが・・・一緒に遊んでくれることが・・・家族のいない私に本当の安らぎをくれたことが・・・そして・・・その間・・・ずっと影ながら、私を守ってくれたことが・・・」
「ティニー・・・」
「臆病なはずありません・・・ずっと私を守ってくれたイシュタルお姉様が・・・今回も助けてくださったイシュタルお姉様が・・・弱いはずなんてありません・・・あなたは・・・本当に強い方です。」
「・・・ティニー・・・私は・・・」

嬉しかった・・・本当に・・・
自分をここまで慕ってくれるティニー・・・
ここまで堕ちた自分を・・・まだ信じてくれる・・・
(今・・・本当の私を見てくれるのは・・・あなただけ・・・)
ティニーの存在が、本当に嬉しかった・・・

そして・・・
(私・・・償わなければ・・・こんなに大切なティニーを傷つけてしまったことを・・・たとえティニーが許してくれても、その信頼に一時でも裏切ってしまった責任を・・・)
この優しいティニーに・・・何かしてあげたかった・・・


「ティニー・・・」
「お姉様・・・うっ!?」
再び、イシュタルが唇を合わせてきた。
イシュタルの行動に驚くティニー・・・
先ほどとは違い・・・目の前で唇を奪われたことに、ティニーはいくらかの衝撃を受けた。
思わず、顔を逸らし・・・キスの束縛から逃げてしまった。

「!・・・お姉様・・・これは・・・」
面と向かって、従姉妹にキスをされたティニーは顔を赤らめていた。
「・・・私・・・あなたに何かしてあげたいの・・・」
真剣な表情のイシュタル・・・
「な・・・なにかって・・・」
「私・・・ティニーを大切に思っているから・・・だから・・・傷ついたあなたを・・・癒してあげたいの・・・それしか・・・今の私にはできないから・・・」
「癒す・・・?」
再び・・・イシュタルの顔が迫ってきた・・・
「・・・ティニーを・・・愛してあげる・・・」
そして・・・再びティニーの唇を奪うイシュタル・・・

「!・・・うっ・・・」
ティニーの目が、カッと開かれる。
(そんな・・・イシュタルお姉様・・・)
ティニーは混乱していた。
イシュタルにキスをされて・・・
いや・・・イシュタルが嫌いなわけではない・・・
女性同士が・・・この様な行為をすることに、ティニーは抵抗があったのだ。
今まで、この手の行為にほとんど知識も免疫もなかったのだから、仕方がないのかもしれない・・・
数少ない知識から、この様な行為は異性同士がするものだと思っていたからだ・・・
(イシュタルお姉様が・・・私にキスをしている・・・そんな・・・)
さきほどのように・・・キスを感じることよりも・・・理性が先にきてしまうティニー・・・

ティニーは何とかイシュタルを撥ね退けようとしてしまう。
肩に手を当て押しのけようとし、また再び、顔を振ってしまう・・・

しかし、今回、イシュタルはティニーの唇を逃がさなかった。
振られる顔にしっかりとついていくイシュタル・・・
肩に込められた力も、イシュタルを撥ね退けるまではいかない。
しばらく、そんな攻防が続いた・・・

徐々に・・・ティニーの抵抗が和らいでいく・・・
イシュタルの与えてくるキスの心地よさに、抵抗ができなくなっていったのだ。
あまりに柔らかく、甘美な心地よさに・・・
閉じていたティニーの目から一筋の涙がこぼれていく・・・
それは悲しみの涙なのか・・・それとも・・・

「!!」
ティニーはいきなり口の中に、何かが挿し込まれたのを感じた。
それは・・・ティニーの口内を動き回っていった。
イシュタルの舌だった・・・
それは、口内の奥にあるティニーの舌を探し当てると、それと絡み始めた・・・
(そんな・・・いや・・・)
初めての濃いキスに、戸惑いを覚えるティニー。
しかし・・・逃れることはできず、ただイシュタルの舌にいいようにされていった。

しばらく・・・それが続き・・・
イシュタルは、ティニーの口を解放した。
イシュタルとティニーの間を、妖しい糸が引いた・・・

「ぷふぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
口を解放されたティニーは、荒い呼吸を繰り返した。
「ティニー・・・」
イシュタルは上半身だけ起き上がらせた。
「ティニー・・・感じてくれているの?・・・もっと・・・感じさせてあげる・・・」
そう言うと、彼女は自分の服に手をかけた。

スル・・・
彼女の体を覆っていた服が、下に落ちていった。
・・・彼女の裸身が露になった。
今、彼女は自分の秘所を隠す下着以外・・・なにも身に付けていない・・・
「?・・・イシュタルお姉様?」
ティニーは、イシュタルの裸に心を奪われた。
美しい・・・そういう形容が適切な体だった・・・
白く、透きとおった肌・・・胸は大きいが、とても形が良く、立っていてもまったく形を崩さなかった。
余分な肉などまったくついておらず、逆に痩せすぎという部分もなく、女性らしい豊穣さに溢れていた。
(イシュタルお姉様・・・美しい・・・女神みたい・・・)
それがティニーの素直な感想だった。

服を脱ぎ去り、一糸まとわぬ姿になったイシュタルは・・・
「ティニー・・・大丈夫だから・・・」
と言って、ティニーに再び、覆い被さってきた。

「イシュタルお姉様・・・わたし・・・」
イシュタルのキスで、既にティニーは骨抜きになっていた。
うつろな瞳でイシュタルを見る。
あまり・・・抗う気持ちになれなかったのである。

「今まで・・・苦しかった分・・・気持ち良くさせてあげるから・・・」
というと、ティニーのうなじに顔を近づけ、舌を這わせたのだった。
「・・・ひっ!・・・」
ぞわぞわとした感触がティニーを襲った。
その感触に、再びティニーは抵抗を始めようとする。
そんなティニーの両手を、自分の両手で抑え、ベットに大の字で押さえつけたのだった。
「すぐに・・・気持ち良くなるから・・・」
自分の知っているイシュタルとは違うイシュタルに・・・ティニーは戸惑った。
耳の裏から。つっ・・・と舌を下ろしていくイシュタル。
「うう・・・うん・・・」
明らかに、なにかを感じた声をあげるティニー。
何度も何度も往復させる。
時には、耳たぶにまで舌を這わせ、また甘噛みしてみる。

「あひっ!」
イシュタルは分かった。
ここはティニーの性感帯の一つだと・・・
「ここが・・・感じるのね・・・」
「そんな・・・感じるだなんて・・・っは!・・・」
舌が這うたび、声を上げてしまうティニーは顔が真っ赤になった。
首筋に、妖艶な唾液の筋が引かれていく・・・

「こっちも・・・」
イシュタルは、顔をティニーの胸元に持っていった。
両手をティニーに押さえ込むのに使っているイシュタルは、口を使ってティニーの寝間着の腰紐の結びを噛んで、引っぱり上げ、それを解いた。
そして、ティニーは胸から股間の下着まで・・・あられない姿を晒すことになった。
「そんな・・・お姉さま・・・」
(見られている・・・自分の胸を・・・自分の大事なところを・・・)
羞恥に苛まれるティニー・・・
「ティニーの胸・・・とっても可愛い・・・それに・・・」
イシュタルが胸の谷間に顔をうずめた。
「柔らかい・・・」

「そんな・・・イシュタルお姉様・・・私・・・小さいし・・・」
「?」
突拍子もないことに、唖然としてしまった。
ティニーは自分の胸の小ささに引け目を感じているみたいだった。
(別に・・・小さいとは思わないけど・・・)
確かに小ぶりではあるが、まだティニーみたいな少女の物としては普通の大きさであろう。
むしろ・・・形の良さや、その柔らかさ・・・みずみずしさに、小さな可愛い頂を考えれば、素晴らしい美乳であると言えるであろう。
「・・・イシュタルお姉様のように・・・大きくないし・・・」
「?・・・・・・ぷっ・・・」
思わず吹いてしまったイシュタル。
「ティニー・・・私のほうが年上なのよ? あなたより大きくて当然でしょう?・・・」
「・・・でも・・・」
「ティニーもこれから大きくなるわよ。 だってこんなに綺麗な乳房を持っているんだから・・・」
「・・・本当?・・・」
「そうよ・・・綺麗で可愛いわよ・・・だから・・・」

ペロンと、ティニーの右の乳首を舐めあげるイシュタル
「・・・あふん!」
「愛してあげたくなちゃう・・・」
何度もティニーのピンクの乳首を舐め上げていく・・・
「うはぁ・・・いやん・・・ああ!」
乳首を口に含み、口内で舌を使って丹念に転がした。
しばらく続けてから口を離すと、妖しく濡れており、突起は立っていた。

そんな事が続けられ・・・
あまりに刺激に・・・ティニーは声を上げてしまう・・・
「んはああ!・・・やめて・・・イシュタルお姉様・・・こんなの・・・変だよ・・・」
いまだに残った理性で・・・懸命に訴えるティニー・・・
しかし・・・その理性も、とろけそうになっていた。

「ティニー・・・嫌なの?」
「・・・えっ?」
顔をあげたイシュタルが、ティニーを覗き込んでいた。
「嫌だった?・・・ごめんね・・・ティニー・・・」
少しイシュタルの表情が沈んだ・・・
「いえ! 違うんです・・・あっ・・・その・・・」
イシュタルの表情にティニーは慌ててしまう。
「私にされるのが・・・いや?・・・私が・・・嫌い?」
それは違った。
「違います。イシュタルお姉様が嫌いなのではありません。・・・むしろ・・・大好きです。」
それがティニーの本心である。
「私も・・・ティニーが大好きよ・・・私にとっても・・・大切な存在だから・・・」
「お姉様・・・」
「ごめん・・・私・・・今、あなたに気持ちを伝えるには・・・こういう方法しか思いつかないの・・・あなたを愛するには・・・言葉だけでは足りないと思ったから・・・だから・・・」
自分の不器用さに・・・イシュタルは情けなかった。
でも、ティニーに教えたかった・・・
自分がどれだけ・・・ティニーのことを大切に思っているのかを・・・

「私・・・我慢します・・・」
「ティニー?」
ティニーは、少し潤んだ瞳をイシュタルに向けた。
「恥ずかしいの・・・我慢します・・・お姉様の気持ちを受け入れるために・・・だって、イシュタルお姉様の気持ち・・・私・・・本当に嬉しいから・・・もっと気持ちをたくさん受け入れたいから・・・」
力を抜いて、体をリラックスさせるティニー・・・
腕を下におろし、無防備をみせてみる。
「もっと・・・私に・・・気持ちをたくさんください・・・」
「・・・ティニー・・・うん・・・」
ティニーをもっと愛そう・・・
この大切な少女を・・・

再び・・・イシュタルがティニーの体に手をかけた・・・



「うく・・・うん・・・うあ・・・」
イシュタルの両手が、ティニーの胸を揉み回していく・・・
本当にゆっくりと・・・あまり力を入れすぎないように・・・
そして、時折動きを止めて・・・口に乳首を含んだ。
(私の・・・おっぱいが・・・お姉様に愛されている・・・)
しかし・・・それが分かっていても・・・
時々、撥ね退けてしまいたくなる衝動に駆られる・・・
ティニーはそれを防ぐために、二つの手にシーツを強く握らせていた。
我慢と、自分の抵抗を押されるために・・・

「くふうう!・・・んは・・・あふ・・・」
徐々にだが・・・素直に反応できるようになっていくティニー。
イシュタルの愛撫に・・・抵抗はなくなっていった。
それは当のティニーが一番感じていた。

(・・・どうしてなのかな・・・?)
快感の中で・・・ティニーは思った・・・
(イシュタルお姉様にされていることは・・・あの時・・・ヒルダや、あの男たちにされたことと・・・あまり変わらないのに・・・)
男たちの物に奉仕させられていた時・・・胸を責められた時に感じたもの・・・
そして・・・ヒルダに犯された時に・・・感じたもの・・・
あれは、認めたくはなかったが、確かに快感だった。
しかし、一緒に屈辱感や嫌悪感を感じたのも事実だった。
(でも・・・確かに恥ずかしいけど・・・そんな感情は出てこない・・・同じ様に・・・感じているのに・・・)
そんな疑問を・・・ティニーは考えていた・・・
そして・・・

(・・・これが・・・愛されるってことなのかな・・・)

そう・・・
ヒルダたちが行ったことは・・・
ティニーを貶めるために・・・嬲るために行ったものでしかなかった。
でも・・・イシュタルは・・・ティニーを愛してくれているのだ・・・
ティニーのことを思い・・・ティニーを気持ち良くさせてあげるために・・・
行為に及んでいるのだ。
(相手が違うだけで・・・目的が違うだけで・・・こんなに・・・私自身・・・気持ちが変わってきちゃうんだ・・・)
・・・ちょっと難しいことを考えているティニーだった・・・
(私も・・・セティ様と・・・愛し合えたら・・・こんな気持ちでいられるのかな・・・)
もう・・・意中の男と、何年もあってないような感覚に襲われた。
(・・・セティ様・・・)


ティニーの胸を揉んでいたイシュタルの右手が・・・ティニーの腰にまわされてきた。
しばらく・・・ちょっといやらしい手つきで撫で回したあと・・・
それは・・・ティニーの股間に持っていかれた。
(!?・・・・・・やっぱり・・・恥ずかしいよ・・・)
それを拒みはしなかったが、羞恥で今まで以上に顔が赤くなる・・・

そんな様子を見ていたイシュタルが・・・少し動くを止めて・・・
「大丈夫だから・・・力を抜いて・・・私を感じて・・・」
ティニーを落ち着かせるように言った。
「・・・お姉様・・・はい・・・」
頷いたイシュタルは、下着に手を置いた。
そこは・・・既に濡れていた・・・
今までの行為が、ティニーに愛液を出させていたのだ。
「ティニー・・・良かった・・・感じてくれているのね・・・こんなに・・・濡れて・・・」
「えっ?・・・そんな・・・」
「目を閉じて、そんなに恥ずかしがることはないわ・・・誰でも・・・こうなるんだから・・・」
そして・・・イシュタルは下着の中に・・・指を滑り込ませた・・・
「!?」
「怖くないから・・・」
そして・・・濡れそぼった秘所と、その上にある花芯を刺激し始めた。
「うああ!・・・ああん!・・・あっ・・・」
今までより、かん高い声が、ティニーから洩れる・・・
中指が秘所の淵をなぞり・・・人差し指が花芯を転がした・・・
指が動くたびに・・・特に花芯がいじられるたびに、激しい刺激が脳髄を直撃するように押し寄せてくる・・・
左手は・・・いまだティニーの乳房に置かれており、丹念に揉みまわしていた。
それと同じくして、イシュタルの口はティニーのうなじに舌を這わせていた。
3つの性感帯をイシュタルに愛撫され・・・ティニーは快感の渦に飲み込まれていく・・・
「ああぁ!・・・あん!・・・んん・・・う・・・ふ・・・」
(私・・・気持ちいい・・・愛されるって・・・こんなに気持ち良くて・・・)

「これ・・・脱がしてあげるね・・・」
イシュタルは・・・ティニーの股間に集中することにした。
下半身まで、自分の体をさげて・・・彼女の寝間着と下着を脱がした。
その間、ティニーはなすがままだった・・・目を閉じて、脱がされる恥ずかしさを耐えようとしているみたいだった。

「綺麗よ・・・本当に・・・」
ティニーのか細いが、白く美しい肌や均整のとれたスタイルは・・・将来がとても楽しみな体と言っても良かった。
「本当・・・ですか?」
「本当よ・・・」
しかし、少しイシュタルの顔は曇った・・・
(やっぱり・・・少し、まだ傷が残っている・・・)
イシュタルの献身的な看病・治療によって、もうほとんどが消えていたが・・・
それでも、うっすらと傷跡が見えるところも残っていたのである・・・
それを見ると、ティニーが汚された事実を再認識させられる・・・
(ごめんね・・・ティニー・・・)

それでも・・・イシュタルは彼女の股間に顔を埋めた。
「!?」
(・・・恥ずかしい!)
「可愛い・・・ティニーのここ・・・」
「そんな・・・そんなこと・・・」
顔を両手で覆い隠してしまうティニー・・・
我慢していても、やっぱり恥ずかしいみたいだ。
「本当に・・・綺麗よ・・・」
そう言って、秘所に舌を這わせた。
「ひゃん! あうん・・・」
まわすような動きで秘所を嘗め回すと、思い出したように花芯を舐めあげる。
既に濡れていた部分にさらに舌を這わすことによって、唾液がそれにプラスされる・・・
また・・・ティニーが刺激を受けるたびに、秘所から次々と愛液が溢れ出してくる。
徐々に溢れかえった二人の体液が、下に流れ落ちていき・・・ベットのシーツを濡らした。

「痛かったら・・・ちゃんと言ってね・・・」
「あん!・・・えっ?・・・イシュタルお姉様・・・」
イシュタルの人差し指が・・・ティニーの中に入れられた。
ヌチャ・・・
湿った音がする・・・
「くはっ!・・・くううう・・・」
今ままでより激しい刺激に、ティニーは痛みを伴った悶えをした。
「大丈夫?・・・やっぱり・・・」
イシュタルは心配をする。
しかし、そんなイシュタルにティニーは精一杯の笑顔で答える・・・
「だ・・・いじょうぶです・・・続けてください・・・・」
「でも・・・」
「すぐに・・・気持ち良くなるから大丈夫です・・・だから・・・」
ティニーは、数少ない経験から・・・ここの中を弄りまわされる時に発生する快感の存在を知っていた。
だから・・・
「・・・イシュタルお姉様・・・構わず・・・続けてください・・・」
「ティニー・・・分かったわ・・・」
ティニーの勇気に答えるイシュタル・・・

ヌチャ・・・クチャ・・・
イシュタルは・・・指を挿し入れ・・・ゆっくりと解すように動かし続ける・・・
ティニーに痛みを与えないように・・・
「あふうう・・・んんっ・・・あ・・・ああう・・・」
その甲斐あってか・・・ティニーはあまり痛みを感じることがなく、素直に快感を感じることができた。

「ああ・・・う・・ううん・・・んっ・・・」
(私・・・気持ちいい・・・とっても・・・)
快感に身を委ねるティニー・・・
しばらくは目をつぶって、その愛撫を感じていた・・・
そして・・・ふと、股間に顔を埋めるイシュタルに視線を当てた。
一生懸命に、ティニーを愛してくれているイシュタルの姿がそこにあった。
(私を・・・感じさせてくれるために・・・あんなに・・・)
途端に・・・自分の中に今までとは違う感情が起きた。
(私は・・・ここまでされているのに・・・私はイシュタルお姉様になにもしていない・・・)
自分はこれだけ愛されている・・・これだけ快感を与えてもらっているのに・・・
自分が、イシュタルになにもしていないことに気づいたのだ。
(私・・・イシュタルお姉様にも・・・気持ち良くなってもらいたい・・・)
そう・・・考えるようになった。
(・・・でも・・・どうすれば・・・?)

「どう・・・ティニー・・・気持ちいい?」
股間から少し顔をあげて、ティニーに尋ねるイシュタル。
その口元は、二人の体液によって妖しく光っていた。
「あん・・・はい・・・とっても・・・気持ちいいです・・・でも・・・」
「・・・でも?」
「・・・私・・・イシュタルお姉様にも・・・気持ち良くなってもらいたい・・・」
「えっ?」
思いかげないことを言われたイシュタルは、一瞬混乱した。
「・・・私・・・お姉様にここまで愛してもらっているのに・・・私は、なにもしてあげていない・・・でも、私・・・お姉様にも気持ち良くなってもらいたい・・・だって・・・私もイシュタルお姉様が・・・好きだから・・・」
「ティニー・・・」

「だから・・・」
「きゃ!」
ティニーは体を起こして、イシュタルの肩をつかんで彼女の体を横にずらした。
ベットに倒れこんだイシュタルの上に、今度はティニーが覆い被さった。
二人の位置関係が逆になった。
「ティニー!」
ティニーの意外な行動に、イシュタルは戸惑った。
「今度は・・・私がお姉様を愛してあげます・・・」
そう言って、ティニーはイシュタルの体に舌を這わせ始めた。
といっても、ティニーはまったくこの様な性経験はまったくなかったので、イシュタルが自分にしてくれたことを真似することなのだが・・・

ティニーの口がイシュタルの乳首を舐めた。
ペロン・・・ペロン・・・
その反応は、とても激しかった。
「ああ! はあ・・・うは!」
イシュタルの嬌声が部屋に響き渡った・・・
(お姉様・・・感じてくれてるの?)
自分の舌で声をあげてくれる・・・
ティニーは、どんどん舌を這わせた。
「あううん・・・うん・・・ああ!」
自分でも、不思議なくらい反応してしまうイシュタルはティニーに翻弄されていた。
不思議なくらい・・・感じていた。
イシュタルはティニーのあられもない姿を見て、感情と体が既に高まっていたのだ・・・
そのため・・・体も感じやすくなっていた・・・

ティニーは舌だけではなく、手もイシュタルの豊かな胸に添えた。
イシュタルがしてくれたように、ゆっくりと揉んでいく・・・
(こんなに・・・柔らかいの・・・)
ティニー自身、イシュタルの胸の柔らかさと触り心地に・・・夢中になっていった。
少しずつ・・・揉む早さが上がっていった。
「くううぅぅ・・・あは!・・・はあ・・・うん・・・」
「・・・どうですか?・・・感じていますか?・・・お姉様・・・」
自分の愛撫が、イシュタルを感じさせてあげているのか・・・
ティニーは少し、自信がなかったのだ。
「ティニー・・・ああ!・・・私すごく・・・感じて・・・っん・・・」
「良かった・・・」
自分がイシュタルを感じさせる事ができて、ティニーは嬉しかった。
そして・・・気を良くしたのか、さらにイシュタルの胸を愛撫する・・・
イシュタルの乳房を、自分の唾液で濡らしていく・・・
(すごい・・ティニー・・・上手・・・)
ティニーの柔らかな愛撫は、イシュタルの頭の中を白くさせていった・・・
手や足に力が入らなくなっていく・・・
ティニーの舌と手は、イシュタルの性感を引き出し・・・高めていった。

ティニーはただ、イシュタルを優しく愛することだけを考えて、乳房にかかっていたのだ。
それが逆に、イシュタルを熱くさせているみたいだった。
「あふ・・・ふ・・・ん・・・あっ・・・あああぁ!」
ティニーはイシュタルが感じてくれて、とても嬉しかった。

ただ・・・ティニーは少し迷っていた・・・
本当は、イシュタルにもっと気持ち良くなって欲しかった・・・
そして、そのためには・・・彼女の下着の奥にある女性の部分を手にかける必要があることも・・・
しかし・・・彼女はイシュタルの秘所を責めることに戸惑いを覚えていた。
いや・・・勇気が出なかったのだ。
自分が・・・イシュタルの大事なところを晒す勇気が・・・
秘所を目の前にして・・・イシュタルを感じさせることができるかどうかの自信が・・・

そんなことを考えていたティニーは、イシュタルを愛撫するのが、少し疎かになっていった・・・
それは、イシュタルにいくらかの余裕を与える結果になった・・・
(ティニー・・・・何か考えごとしてる・・・)
ティニーに翻弄されていたイシュタルにとって・・・それは、甘い拘束から逃れるチャンスでもあった。
(このままだと・・・私・・・本当に我を忘れて、ティニーに全てを任してしまう・・・でも、それだとティニーを気持ち良くさせてあげられない・・・私ばっか、感じてしまう・・・)
自分が、ティニーに愛されることに不満はなかったが・・・それだとティニーを気持ち良くさせることができない・・・
ティニーを気持ち良くさせたかったイシュタルにとって、それは避けたいことだった。
だから、ティニーの責めが弱まっている今が、チャンスだったのだ。

イシュタルのが、考え込むティニーの右手を引いた。
「え?・・・あっ・・・」
咄嗟に引かれたティニーは、そのまま・・・イシュタルの左横のベットに押し付けられた。
再び、イシュタルが上になり最初の状態に戻る。
「ティニー・・・ありがとう・・・たくさん気持ちいいことしてくれて・・・」
「そんな・・・お姉様・・・」
もっと、イシュタルを気持ち良くさせたかったティニーは・・・少し不満そうだった。
「ティニーを・・・また気持ち良くさせてあげる・・・」
「いや・・・です・・・」
思いもしない拒絶の言葉を出すティニー・・・
「えっ?」
「私・・・イシュタルお姉様にも・・・気持ち良くなってもらいたい・・・だから・・・私だけ気持ち良くなるの・・・嫌です。」
ティニーは、自分だけが感じるのは嫌だったのだ。
イシュタルが自分を愛してくれるように・・・
自分もイシュタルを愛しているのだから・・・

(ティニー・・・ありがとう・・・嬉しい・・・)
ティニーの気持ちが・・・イシュタルにはとても嬉しかった。
でも・・・
(でも・・・私は・・・あなたに気持ち良くなって欲しいの・・・だから・・・)
「分かったわ・・・ティニー・・・二人で・・・気持ち良くなりましょう・・・」
「二人で・・・」
「そう・・・」

イシュタルは自分の下着を脱ぎ去った。
「!?」
なぜか・・・顔を赤らめるティニー・・・
(イシュタルお姉様の大事なところが・・・見えてる・・・)
イシュタルの秘所も、ティニーに愛された反応か、じっとりと濡れていた。

イシュタルも全裸になると、寝ているティニーの左足を抱えた。
「イシュタルお姉様?」
ティニーは・・・イシュタルが何をしようとしているのか・・・分からなかった。
イシュタルはティニーの足の間に入った。
そして・・・濡れている自分の股間を・・・ティニーの股間に合わせてきたのだ。
交差する形になる股間と股間・・・
「えっ・・・あっ・・・お姉様!」
あまりに恥ずかしい格好に、ティニーは戸惑いを覚える。
しかし、もうイシュタルのほうには迷いはなかった。
「・・・二人で・・・気持ち良くなりましょう・・・・」
そして・・・股間を動かし始めた・・・


「きゃあ!・・・うはあ!・・・あああぁぁ・・・」
強烈な刺激がティニーを襲う。
しかし、それは・・・
「うっ!・・・ううっ・・・はああぁああ・・・」
イシュタルも同じだった。
股間全体から発せられる快感の渦が、二人を直撃する。

ヌチョ・・・クチョ・・・ヌチョ・・・
二人から流れ出した愛液が、お互いの股間の間に溜まり、動かすたびにいやらしい音と、快感を与える・・・
隆起した花芯と花芯が、お互いに擦れ合い・・・激しいうねりを互いの体に巻き起こす。
敏感な媚肉が、互いの肉と合さり合い・・・絡み合う・・・
「イ・・・イシュタルお姉様!・・・凄い・・・こんなに・・・感じるなんて」
あまりの快感に、歓喜の悲鳴をあげるティニー。
「・・・ティニー!・・・わたしも・・・感じて・・・る・・・」
イシュタルも同じ様に感じていた。

イシュタルは、ティニーをさらに感じさせるために・・・自分もこの甘い快感をさらに感じたいために・・・腰を動かすスピードを早くする。
上下に動かすだけではなく・・・横にも腰を振ってみる。
「い!・・・ああっ!・・・あふ!・・・あ・・・あああああぁぁぁぁ!」
「うっ・・・ううっ・・あっ・・・あっ・・・あふう!」
いつのまにか・・・ティニーも自分から快感を求めて、腰を動かしていた。

「い・・・いいです! イシュタルお姉様・・うはぁ!・・・私・・・凄く感じて・・・」
「私も・・・とても感じる・・・ああ!・・・ティニー・・・」
「イシュタル・・お姉様も・・・き、気持ち良いですか?・・・」
「気持ち・・・ああ!・・・いいわ・・・あっ・・・いい!」

互いに感じあっていることに・・・安心するイシュタルとティニー・・・
そして、もう止まることのない動きに集中していく・・・

「あひ!・・・ああぁ!・・・うああ!・・・」
「うはああ!・・・あっ・・・はあああぁぁぁぁあ・・・」
互いの喘ぎが高まっていく・・・
既に、二人の間の愛液は尋常な量ではなく、二人の太股や腰・・・そしてベットを多いに濡らしていた。


「お姉様・・・私・・・もう・・・ダメ!・・・おかしくなる・・・」
ティニーは絶頂の来訪を感じていた。
「ティニー!・・・イクの?・・・いいよ・・・イって・・・私も・・・イキそうだから・・・」
イシュタルも限界に近づいていた。

クチョ!・・・ヌチョ!・・・クチャ!・・・ネチャ!
二人の間の水音も、二人の動きの激しさに大きくなっていく・・・

「あっ!・・・ダメ・・・もう・・・私・・・ああ!・・・わたし!」
「うああ!・・・ティニー!・・・一緒に・・・」

そして・・・
互いの体が、ビクン!と痙攣し・・・


「イシュタルおねえさまあああああああぁぁぁぁぁ!!」
「あああぁぁぁぁぁあ!!・・・ティニー!!!」

互いの名を呼びながら・・・果てたのだった・・・












「・・・今日は・・・一緒に寝てもいい?」

「はい!・・・イシュタルお姉様・・・どうぞ・・・」

「・・・こうやって・・・二人で同じベットに寝るの・・・何年振りかしら・・・」

「そう・・・ですね・・・本当に・・・久しぶり・・・の・・・ような・・・」

「あの頃は・・・本当に幸せだった・・・本当に・・・」

「・・・・・・」

「・・・ティニー?」

「・・・・・・クゥ・・・」

「・・・そうか・・・もう寝てしまったのね・・・」

「・・・クゥ・・・クゥ・・・」

「ふふっ・・・可愛い・・・寝顔・・・」

「・・・・・・」

「私も・・・少し・・・疲れたみたい・・・おやすみなさい・・・ティニー・・・」


二人はお互いに向き合いながら・・・

まどろみの中へと、落ちていったのだった・・・

安らかな寝顔で・・・

 

 

あなたの名は・・・ 第四章へ

 

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